サステナビリティへの取り組み
基本的な考え方
OKBグループは、サステナビリティを巡る課題への対応を重要な経営課題として認識し、「地域循環型社会の担い手として、持続可能な地域づくりに貢献する」ことで、OKBグループの経営の基本理念の実現を図ってまいります。
重点課題(マテリアリティ)
1.地域経済の持続的成長
-
地域の事業者の皆さまそれぞれのニーズに応じたソリューションをグループ全体で提供し、本業支援を通じた課題解決によって、地域経済の持続的成長に貢献します。
2.地域のイノベーション支援
-
AIやFinTechなどのIT技術を活用して、お客さまにとってより利便性が高く、より身近な金融インフラを構築するとともに、地域のイノベーションを支援し、持続可能な産業化を促進します。
3.多様な人材の活躍推進
-
女性社員をはじめとする多様な人材の幅広い分野での活躍を推進するとともに、働き方改革によって働きがいのある環境を整備することにより、質の高いサービスの提供に努めます。
4.気候変動対応、環境保全
-
地球環境との共生が持続可能な社会の基盤となることを認識し、自然豊かな環境を未来に引き継ぐため、気候変動問題や環境保全活動に積極的、継続的に取り組みます。
5.地域資源の活用
-
種々の課題解決において、地域資源を積極的に活用することで、そのシナジーを最大限発揮し、地域との共存共栄を実現します。
6.コーポレートガバナンスの高度化
-
経営の迅速な意思決定及び経営の効率性の追求、積極的なディスクロージャーを通じた経営の透明性の向上、誠実な企業グループとして行動するためのコンプライアンス(法令等遵守)の実践と地域奉仕を基本に、コーポレートガバナンスの高度化に努めます。
なお、重点課題については適宜見直しを行います。
サステナビリティ長期KPI
1.サステナブルファイナンス(※)目標(OKBグループ目標)
目標額(2022年度~2030年度実行累計額)
1兆2,000億円(うち、環境分野6,000億円)
(※)サステナブルファイナンスの定義
・環境課題や社会課題の解決に資するファイナンス
・ESG、SDGsへの取り組みを支援・促進するファイナンス
環境分野
・気候変動への適応・緩和等、環境負荷低減に資するファイナンス
2.CO2排出量(※1)削減目標(OKBグループ目標)
2030年度までに75%削減(2013 年度比)(※2)
2050年度までにカーボンニュートラル達成
-
(※1)Scope1(当社グループがガソリンを燃焼すること等により直接的に発生するCO2排出量)およびScope2(他社から供給された電気等を使用することにより間接的に発生するCO2排出量)に該当するCO2排出量
(※2)2024 年11月に2030年度までの削減目標を50%削減(2013年度比)から75%削減(2013年度比)に修正しました。
3.女性リーダー職比率
2030年までに女性リーダー職(主任以上)比率30%の達成
当社グループでは特定した6つの重点課題(マテリアリティ)に対し、環境、社会価値を測る非財務指標を設定しています。
測定指標はサステナビリティ推進委員会(委員長:頭取)にて進捗を管理、サステナビリティ課題への取り組みを推進しています。
OKBグループは2021年12月に「サステナビリティ基本方針」を公表しました。
「地域循環型社会の担い手として、持続可能な地域づくりに貢献する」ことで、OKBグループの経営の基本理念「地域に愛され、親しまれ、信頼される銀行」の実現を目指しています。
さまざまな活動を展開するうえで、人権の尊重については取り組むべき重要な経営課題の一つと認識し、「OKBグループ 人権方針」を制定します。
1.国際規範の尊重
OKBグループは、「世界人権宣言」や「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」、「ビジネスと人権に関する指導原則」などの人権に関する国際規範を尊重します。
2.適用範囲
本方針は、OKBグループのすべての役職員に適用されます。
また、お客さま、サプライヤーなどのステークホルダーに対しても、本方針の趣旨に沿って人権を尊重することを期待します。
3.役職員に対して
OKBグループは、全役職員の人権を尊重し、全役職員が安全で働きやすい職場を、責任をもって提供することを最優先に考えます。
いかなる場面においても、国籍、人種、民族、門地、社会的身分、宗教、信条、性別、障がいの有無、身体的特徴、性的志向、性自認、健康状態などを理由とした差別、ハラスメント行為、人権侵害を容認しません。
4.お客さまに対して
OKBグループは、お客さまの人権を尊重し、商品やサービスの提供にあたり差別的な扱いのないように努めます。
また、お客さまとともに人権課題の解決に努め、人権を侵害しないことをお客さまに対しても求めていきます。
提供する商品やサービスが人権侵害に結びついている場合には、OKBグループとして適切に対応し、お客さまにも適切な対応をとるよう働きかけていきます。
5.サプライヤー(取引業者)に対して
OKBグループは、サプライヤーに対しても、人権を尊重し、侵害しないことを求めていきます。
サプライヤーが人権に対して負の影響を及ぼしている場合には、OKBグループとして適切に対応し、サプライヤーにも適切な対応をとるよう働きかけていきます。
6.人権教育の実施
OKBグループは、人権に関する正しい理解と認識を深めるため、役職員に対して人権問題に関する教育を継続的に実施します。
7.人権デュー・ディリジェンス
OKBグループは、適切な人権デュー・ディリジェンスを通じて、事業活動による人権への負の影響を防止・軽減することに努めます。
8.救済措置
OKBグループは、役職員や提供する商品やサービスが人権に対して負の影響を引き起こした、あるいはこれに関与したことが明らかになった場合には、その救済に向け適切に対応します。
また、役職員に対しては、ハラスメント行為などに対する内部通報窓口や相談窓口を設置し、適切に対応します。
9.ガバナンス
OKBグループは、人権尊重の取り組みについて人権同和推進委員会で報告を行います。
本方針の制定および改定は、サステナビリティ推進委員会での協議を経て、取締役会において決議されます。
10.情報開示とステークホルダーとの対話
OKBグループは、本方針の取り組みについてステークホルダーとの対話や協議を通じて、人権尊重に関する取り組みの向上、改善に努めます。
OKBグループは2024年12月に公表した「OKBグループ『人権方針』」において、役職員に対して「全役職員の人権を尊重し、全役職員が安全で働きやすい職場を、責任をもって提供することを最優先に考え、ハラスメント行為、人権侵害を容認しません」としています。また、お客さまに対しても「お客さまとともに人権課題の解決に努め、人権を侵害しないことを求めていきます」としています。
従来からOKBグループは、相談・苦情等は「お客さまと一対一でコミュニケーションができる貴重な機会であり、顧客満足度向上を意識して親切丁寧に対応することにより、当社グループに対する見方が変わり、信頼感が生まれることとなるので、決して相談・苦情等から逃げることなく正面から積極的に対応します」としています。
しかしながら、相談・苦情等の中には、過剰な要求、商品やサービスへの不当な言いがかり等、社会問題化しているカスタマーハラスメントに該当する迷惑行為が見受けられることがあるため、カスタマーハラスメントに該当する場合は役職員の人権を尊重するべく、「OKBグループ『カスタマーハラスメント対応方針』」を制定しました。
1.カスタマーハラスメントの定義
お客さま等からの相談・苦情等のうち、当該要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・態様により、役職員の就業環境が害される行為をカスタマーハラスメントと定義します。
【手段・態様が社会通念上不相当な行為の例】
以下は例示であり、これらに限るものではありません。
- 身体的な攻撃(暴行、傷害)
- 精神的な攻撃(脅迫、中傷、名誉棄損、侮辱、暴言)
- 威圧的な言動
- 土下座の要求
- 継続的な言動、執拗な言動
- 拘束的な行動(不退去、居座り、監禁)
- 性的な言動
- 差別的な言動
- 役職員個人への攻撃、要求
- プライバシーの侵害、SNSやインターネット上での誹謗中傷
2.お客さまへの対応
カスタマーハラスメントに該当する場合は役職員の人権を尊重するため、誠意をもって対応しつつも毅然とした態度で対応します。
また、カスタマーハラスメントが発生した場合には組織として対応し、必要に応じて弁護士や警察等とも連携して役職員を守ります。
なお、悪質なカスタマーハラスメントに該当すると当社グループが判断した場合には、以降の対応やお取引をお断りする場合があります。
3.役職員への対応
カスタマーハラスメントに対する体制や役割を整備し、相談窓口を設置するとともに、役職員への教育や研修を行います。
また、カスタマーハラスメントによって役職員にメンタルヘルス不調の兆候がある場合は適切なケアを行います。
基本的な考え方
- 地球環境との共生が持続可能な社会の基盤となることを認識し、自然豊かな環境を未来に引き継ぐため、気候変動問題や環境保全活動に積極的、継続的に取り組みます。
行動指針
- 環境に関連する法律、規則、協定などを遵守します。
- 省エネルギー、省資源、廃棄物のリサイクル活動を通じて、温室効果ガスなどによる環境負荷の低減に努めます。
- 環境に配慮した商品やサービスの開発・提供を通じて、環境問題に取り組むお客さまを支援します。
- 全役職員が環境問題に関する認識を深め、積極的に環境保全活動に取り組みます。
基本的な考え方
- 環境・社会に対する負の影響を及ぼす可能性の高い資金使途の投融資に関しては、慎重に判断することで環境・社会への負の影響を低減・回避することに努めます。違法または違法目的、公序良俗に反する事業は、環境・社会に対するリスクまたは負の影響を内包しており、これらの事業に対する投融資は行いません。
特定セクターに対する取組方針
石炭火力発電事業
- 新設の石炭火力発電所向けの投融資は、原則として行いません。
- ただし、例外的に取り組みを検討する場合、個別案件ごとの背景や特性等も総合的に勘案したうえで慎重に対応します。
パーム油農園開発事業・森林伐採事業
- パーム油、木材・紙パルプは人々の暮らしや社会の維持に欠かせない重要な原料である一方、違法伐採などの社会問題が起こりうることを認識しています。森林資源保全の観点など、様々な点に十分注意したうえで慎重に対応します。
非人道兵器製造関連事業
- クラスター爆弾等の非人道兵器を開発・製造する企業への投融資は行いません。
人権侵害・強制労働等に関与する事業
- 人身売買等の人権侵害や強制労働に関与が認められる企業への投融資は行いません。
TCFD提言への対応状況
当社は2021年12月に「TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース」の提言に賛同しています。当社グループは気候変動に関する情報開示の重要性を認識し、TCFD提言のフレームワークに沿った情報開示の充実に努めてまいります。

- 頭取を委員長としたサステナビリティ推進委員会にて気候変動対応などの基本方針や重要事項などを検討しています。
- その検討内容は、定期的にまたは必要に応じて、取締役会に付議または報告され、取締役会が気候変動の取り組み状況を監督しています。
2024年度 気候変動にかかる協議・報告事案
・OKBグループにおける新たなサステナビリティ推進体制について
・マテリアリティ別測定指標に関する進捗状況と課題
・気候変動に関するリスクおよび収益機会への対応
・CO2排出量削減目標の引き上げ
1. リスクと機会
●リスク
- 気候変動リスクとして、移行リスクと物理的リスクを認識しています。
- 移行リスクは、気候関連の規制強化への対応など、低炭素社会への移行の影響を受けるお客さまに対する信用リスクの増大などを想定しています。
- 物理的リスクは、気候変動や自然災害によってもたらされるお客さまの事業活動への影響および業績悪化や担保毀損に伴う与信関係費用の増加などの信用リスク、営業店舗の損壊などによるオペレーショナルリスクを想定しています。
●機会
- お客さまの温室効果ガス(GHG)排出量削減やエネルギー効率向上など、環境・社会にポジティブなインパクトの創出に資するファイナンスやソリューションなどを提供し、ビジネス機会を創出していきます。
2024年度の取り組み
・お客さまのGHG排出量削減やエネルギー効率向上などに関するソリューションの提供
・J-クレジットの活用によるカーボンニュートラル達成に向けたサポート
・「OKB地域応援私募債(拍手喝債)~カーボンオフセット型~」の取扱開始
2. シナリオ分析
OKBではセクター別の融資ポートフォリオの割合と気候変動影響度を踏まえ、「エネルギー」「自動車・部品」を重要セクターとして選定し、1.5℃シナリオ、4℃シナリオをベースとし、気候変動リスクや機会の大きさを分析する、シナリオ分析を行っています。
●重要セクターの選定プロセス
(1)セクター別ポートフォリオの調査
TCFD改訂ガイダンス(2021年10月)で指定された4業種18セクター別に、排出原単位を加味したOKBの融資ポートフォリオを調査
(2)セクター別気候変動影響度の調査
外部の文献などを参考に気候変動の影響を受けやすいとされる業種の気候変動影響度を調査
(3)重要セクターの選定
上記(1)、(2)を踏まえて、対象セクターを選定
プロセス/セクター | (1) | (2) | (3) | |
ポートフォリオの大きさ |
排出量の大きさ |
気候変動影響度調査 |
選定結果 |
|
エネルギー※ |
やや大 |
中 |
やや大~大 |
対象セクター |
自動車・部品 |
やや大 |
大 |
中 |
対象セクター |
不動産管理・開発 |
大 |
中 |
中以下 |
非選定 |
資本財(建物) |
やや大 |
中 |
中 |
非選定 |
金属・鉱業 |
やや大 |
中 |
中 |
非選定 |
※エネルギー:太陽光・バイオマスなどの再エネ事業者を除外
●ベースシナリオ
参照シナリオ | 参照 |
1.5℃シナリオ | 国際エネルギー機関(IEA) Net Zero Emlsslons by2050 Scenario(NZE)など |
気候変動に関する政府間パネル(IPCC) 第6次評価報告書(AR6)、第1作業部会報告書(SSP1-1.9)など |
|
4℃シナリオ |
気候変動に関する政府間パネル(IPCC) 第6次評価報告書(AR6)、第1作業部会報告書(SSP5-8.5)など |
●分析セクターのリスク・機会
重要セクターとして選定した「エネルギー」「自動車・部品」セクターに影響を与える可能性があるリスクや機会を下表のように整理しています。
<エネルギーセクター>
時間軸「短期:3年」「中期:3~10年」「長期:10年超」
|
大分類 |
小分類 |
リスク |
機会 |
時間軸 |
事業影響 |
移行リスク |
政策・法規制 |
炭素税・炭素価格 の導入 |
操業コストの増加(1.5℃) |
再生可能エネルギー等の普及による売上の増加(1.5℃) |
中・長期 |
大 |
GHG排出規制への 対応 |
操業コストの増加、保有資産価値の低下(1.5℃) |
電化比率の拡大による売上の増加(1.5℃) |
中・長期 |
大 |
||
技術 |
低炭素技術の普及 |
操業コストの増加、既存設備稼働率の低下(1.5℃) |
低炭素燃料等の普及による売上の増加(1.5℃) |
中・長期 |
中・大 |
|
市場 |
エネルギーミックス等 |
操業コストの増加、化石燃料由来のエネルギー |
再生可能エネルギー等の普及による売上の増加(1.5℃) |
中・長期 |
大 |
|
評判 |
顧客行動の変化 (環境意識変化) |
操業コストの増加、化石燃料由来のエネルギー |
再生可能エネルギー等の需要増加による売上の増加(1.5℃) |
中期 |
中・大 |
|
投資家の評判変化 |
投資家のダイベストメントによる資金調達コストの増加(1.5℃) |
投資家の評価の向上に伴う資金調達コストの低下(1.5℃) |
中期 |
小 |
||
訴訟リスク |
操業コストの増加(1.5℃) |
ー |
中期 |
中 |
||
物理的リスク |
急性 |
異常気象の激甚化 |
自然災害の増加による生産拠点の被害、復旧費用の増加(4℃) | ー | 短~長期 |
小 |
慢性 |
水不足・干ばつ 平均気温の上昇 |
平均気温上昇に伴う渇水となった場合の水資源の 安定確保の難化(4℃) |
ー |
長期 |
小 |
<自動車・部品セクター>
時間軸「短期:3年」「中期:3~10年」「長期:10年超」
大分類 |
小分類 |
リスク |
機会 |
時間軸 |
事業影響 |
|
移行リスク |
政策・法規制 |
炭素税・炭素価格 の導入 |
生産・調達コストの増加(1.5℃) |
省エネ技術推進によるエネルギーコスト削減(1.5℃) |
中期 |
小・中 |
GHG排出規制 |
燃費規制未達による罰金(1.5℃) ZEV規制対応の遅れ等による販売台数の減少(1.5℃) |
電動車販売の増加(1.5℃) 電動車向け部品需要の拡大(1.5℃) |
中・長期 |
大 |
||
技術 |
低炭素技術の普及 |
設備投資の増加、CO2削減コストの増加(1.5℃) |
電動車販売の増加、低炭素技術の普及に伴う操業コストの低下(1.5℃) |
中・長期 |
大 |
|
市場 |
エネルギーミックス等 |
エネルギー価格の上昇に伴う生産・調達コストの増加(1.5℃) |
ー |
中・長期 |
中 |
|
評判 |
顧客行動の変化 (環境意識変化) |
顧客嗜好の変化による売上の低下(1.5℃) |
顧客嗜好の変化による売上の増加(1.5℃) |
中期 |
中 |
|
投資家の評判変化 |
投資家の評判低下に伴う資金調達コストの上昇(1.5℃) |
投資家の評価向上に伴う資金調達コストの低下(1.5℃) |
中期 |
小 |
||
物理的リスク |
急性 |
異常気象の激甚化 |
自然災害の増加による生産拠点の被害・サプライチェーン分断による生産停止の発生(4℃) |
ー |
短~長期 |
小・中 |
慢性 |
水不足・干ばつ 平均気温の上昇 |
部品に対する耐熱要求の厳格化(4℃) |
ー |
長期 |
小 |
<移行リスク>
低炭素社会への移行は、政策・法規制等の変化を伴うため、お客さまの財務に様々な影響を与える可能性があります。移行リスクでは、炭素税の導入・引き上げ等に伴うお客さまの財務の変化を推計し、債務者区分の遷移から与信関係費用への影響額を分析しています。
・今回の分析において影響は限定的と考えられますが、対象セクターを限定していること、分析に際し、一定の前提をおいていることから、引き続き対象セクターの拡大等、分析の高度化に努めてまいります。
対象セクター | 「エネルギー」「自動車・部品」 |
シナリオ |
NGFSのNet Zero2050シナリオ(1.5℃シナリオ) IEAのNet Zero Emissions by 2050シナリオ(1.5℃シナリオ) |
分析期間 | 2050年まで |
分析結果 | 与信関係費用の増加額:最大84億円 |
NGFS(Network for Greening the Financial System):気候変動リスクに係る金融当局ネットワーク
IEA(International Energy Agency):国際エネルギー機関
<物理的リスク>
各地で大水害が発生する中、今後、気候変動の影響によりさらに降雨量が増加し、水害が頻発化、激甚化することが懸念され、OKBグループの営業エリアにおいても大きな被害が発生することが予想されます。物理的リスクでは、気候変動による大規模水害の発生頻度の上昇を想定し、「4℃シナリオ」を前提に、当社事業性融資先(住宅ローン先を除く)が、気候変動に起因する大規模水害の被害を被った場合の与信関係費用への影響を試算したところ、2050年までに約19億円の増加が見込まれるという結果になりました。
3. 炭素関連資産
OKBの融資エクスポージャーに占める炭素関連資産※の割合は27.0%です。
※2021年10月のTCFD開示ガイダンスで炭素関連資産とされたエネルギー、運輸、素材・建築物、農業・食料・林産物の4セクター。ただしエネルギーセクターからは太陽光・バイオマスなどの再エネ事業者を除外。
- 特定セクターに対する投融資方針を策定し、環境・社会にネガティブな影響を低減・回避しています。
-
「気候変動リスク」がOKBグループの「信用リスク」「市場リスク」「流動性リスク」「オペレーショナルリスク」に波及する特徴を以下の通り整理しています。
時間軸「短期:3年」「中期:3~10年」「長期:10年超」
カテゴリー |
リスクの定義 |
物理的リスク【時間軸】 |
移行リスク【時間軸】 |
信用リスク |
お客さまの財務状況の悪化などにより、資産の価値が減少ないし消失し、OKBが損失を被るリスク |
自然災害によるお客さまへの事業活動への影響および業績悪化や担保毀損に伴う与信関係費用の増加【短期-長期】 |
気候関連の規制強化への対応など、脱炭素社会への移行の影響を受けるお客さまに対する信用リスクの増大【中期-長期】 |
市場リスク |
金利、為替、株式等の様々な市場のリスク・ファクターの変動により、資産・負債の価値が変動し損失を被るリスク、資産・負債から生み出される収益が変動し損失を被るリスク |
自然災害による株式などの有価証券価値が下落する市場リスクの増加【短期-長期】 |
気候関連の規制強化への対応など、脱炭素社会への移行の影響を受ける株式などの有価証券価値が下落する市場リスクの増加【中期-長期】 |
流動性リスク |
運用と調達の期間のミスマッチや予期せぬ資金の流出により、必要な資金確保が困難になる、または通常よりも著しく高い金利での資金調達を余儀なくされることにより損失を被るリスク、市場の混乱などにより市場において取引ができなかったり、通常よりも著しく不利な価格での取引を余儀なくされることにより損失を被るリスク |
自然災害によってお客さまの資金繰りが悪化し、OKBの預金が流出する流動性リスクの増加【短期-長期】 |
脱炭素社会への移行への対応の遅れによるOKBのレピュテーション悪化に伴い、資金調達環境が悪化するリスク、預金が流出する流動性リスクの増加【短期-長期】 |
オペレーショナルリスク |
銀行業務の過程、役職員の活動もしくはシステムが不適切であることまたは外生的な事象によりOKBが損失を被るリスク |
自然災害によってもたらされる営業資産の損壊などのリスク、公共交通機関が遮断され役職員が出社不能となるリスク【短期-長期】 |
脱炭素社会への移行への対応の遅れに伴う、OKBのレピュテーションが悪化するリスク【短期-長期】 |
今後は統合的リスク管理の枠組みにおいて、気候変動のシナリオ分析や財務に与える影響の分析に努め、気候変動にかかるリスク管理体制の構築に取り組んでいきます。
OKBグループとして、気候変動対応関連のリスクおよび機会に関する実績を長期的に評価・管理し、監視するために、サステナブルファイナンスおよびCO2排出量削減目標を定めています。
サステナブルファイナンス※1目標(OKBグループ)
環境課題や社会課題の解決をはじめ、ESGやSDGs達成への取り組み支援などに資するサステナブルファイナンスの実行類型学目標を設定しています。
指標 | 目標(2022~2030年度) | 実績(2024年度) | |
サステナブルファイナンス | 1兆2,000億円 | 4,385億円 | |
うち、環境分野※2 | 6,000億円 | 1,241億円 |
実行累計額

※1 環境課題や社会課題の解決に資するファイナンス、ESG・SDGsへの取り組みを支援・促進するファイナンス
※2 気候変動への適応・緩和など、環境負荷低減に資するファイナンス
OKBのサステナブルファイナンスメニュー | ||||||
OKB ポジティブインパクトファイナンス |
OKB サステナビリティ・リンク・ローン |
OKB グリーンローン |
OKB サステナビリティ 応援ローンA |
OKB 地域応援私募債 「拍手喝債」 |
SDGs私募債 |
震災時元本免除 特約付融資 |
CO2排出量削減目標(OKBグループ)
OKBグループではCO2排出量(Scope1、2)削減目標を2030年度までに「50%削減(2013年度比)」し、2050年度までにカーボンニュートラル達成という目標を設定していましたが、2024年11月に2030年度までの目標を「75%削減(2013年度比)」へと引き上げを行いました。
指標 |
目標 |
2024年度までの削減率 |
CO2排出量(Scope1、2) |
・2030年度までに75%削減(2013年度比) ・2050年度までにカーボンニュートラル達成 |
▲40.7% |
CO2排出量(単位:t-CO2)
計測項目 | 2024年度 | |||
Scope1 | OKBグループがガソリンを燃焼などすることにより直接的に発生するCO2排出量 | 1,673 | ||
Scope2 | OKBグループがガソリンを燃焼などすることにより間接的に発生するCO2排出量 | 5,603 | ||
Scope1、2の合計 | 7,276 | |||
Scope3 | OKBグループの事業活動に関連する他社のCO2排出量 | 算定単位 | ||
カテゴリ1 | 購入した製品・サービス | 銀行単体 | 10,927 | |
カテゴリ2 | 資本財 | OKBグループ | 7,443 | |
カテゴリ3 | 燃料およびエネルギー関連活動 | OKBグループ | 1,351 | |
カテゴリ4 | 輸送・配送(上流) | 銀行単体 | 350 | |
カテゴリ5 | 事業活動から出る廃棄物 | 銀行単体 | 78 | |
カテゴリ6 | 出張 | OKBグループ | 175 | |
カテゴリ7 | 雇用者の通勤 | OKBグループ | 2,391 | |
カテゴリ8 | リース資産(上流) | (対象外) | - | |
カテゴリ9 | 輸送・配送(下流) | (対象外) | - | |
カテゴリ10 | 販売した製品の加工 | (対象外) | - | |
カテゴリ11 | 販売した製品の使用 | (対象外) | - | |
カテゴリ12 | 販売した製品の廃棄 | (対象外) | - | |
カテゴリ13 | リース資産(下流) | 共有リース(株)のみ対象 | 17,446 | |
カテゴリ14 | フランチャイズ | (対象外) | - | |
カテゴリ15 | 投融資(事業性融資) | 銀行単体 | 10,543,509 | |
Scope3の合計 | 10,583,670 |
Scope3カテゴリ15の試算
OKBは、地域の脱炭素化の実現に向けて、投融資先のCO2排出量削減支援を重要な課題の1つと捉えています。そのため、2024年度は、株式会社日経金融工学研究所が提供している気候変動リスク分析ツール「CRIS」を使用し、PCAFスタンダードを参考に事業性融資に関するCO2排出量について試算しました。試算結果は以下の通りです。
対象アセット | 法人・個人事業主向け一般事業性融資 |
対象残高 | 2025年3月末時点の融資残高 |
データソース |
2業種別の排出原単位:環境省が公表する排出原単位データベース 財務情報:2025年3月末時点で当社が保有する各融資先の決算情報 |
算定方法 | CO2排出量-Σ(売上高×排出原単位×当社融資残高÷資金調達総額) |
データクオリティスコア | 4.00 |
算定カバー率 | 77%(貸借対照表を作成していない個人事業主等は算定せず) |
TCFDにおける18業種およびその他に当社融資先を分類し試算した業種別排出量
セクター | CO2排出量 | セクター | CO2排出量 | セクター | CO2排出量 |
石油・ガス | 252,442 | トラックサービス | 155,487 | 飲料 | 5,025 |
石炭 | - | 自動車及び部品 | 536,881 | 加工食品・加工肉 | 486,669 |
電力ユーティリティ | 127,043 | 金属・工業 | 1,055,886 | 農業 | 32,264 |
旅客空輸 | - | 化学 | 554,805 | 製紙・林業製品 | 220,410 |
航空貨物 | 4,781 | 建設資材 | 3,773,218 | その他 | 1,650,264 |
海上輸送 | 38,828 | 資本財 | 1,555,672 | ||
鉄道輸送 | 18,207 | 不動産管理・開発 | 75,630 | 総計 | 10,543,509 |
・今回の試算結果は、お客さまによる排出量情報の開示状況や当社の計測手法の進化などにより、今後大きく変化する可能性があります。引き続き、計測手法のブラッシュアップと算定範囲の拡大に努めてまいります。
Scope1、2のCO2排出量推移

SDGsへの取り組み
OKB SDGs宣言
OKBグループは、『地域に愛され、親しまれ、信頼されるOKB』という基本理念のもと、グループ役職員一人ひとりが地域の課題解決に積極的に取り組むことを通じて、SDGs(持続可能な開発目標)の達成に貢献し、地域とともに持続的な成長を目指してまいります。



あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる
- 森林文化アカデミー、国際園芸アカデミー学生への奨学金
- クラウドファンディングによる多様な資金調達機会の提供
- 児童養護施設等へのプロスポーツ観戦チケット寄贈


飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する
- OKBアグリビジネス助成金制度の設置
- OKBアグリビジネスファンドの取り扱い
- OKB農林研究所での6次産業化支援コンサル業(グループ会社)
- フードバンク活動の実施


あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する
- 交通安全小冊子、反射タックルバンドの配布
- L'sプロジェクト「ピンクリボンキャンペーン」の実施
- 不妊治療関連ローンFutari-deの取り扱い
- 健康経営の実践
- OKB健康経営サポートサービスの取り扱い
- 日本赤十字社への寄付


すべての人に包摂的かつ公正な質の高い教育を確保し、生涯学習の機会を促進する
- OKB地域応援私募債(拍手喝債)により地域の学校に書籍等を寄贈
- 地域の子供たちに金融経済教育を実施
- ライフプラン”教育ローン”など教育に関するローンの取り扱い


ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児の能力強化を行う
- 女性社員の活躍推進
- 女性応援プロジェクトの設置
- ハラスメントに関する報告・相談窓口の設置
- シングルマザー応援ローンTetoteなど女性向けローン商品の取り扱い
- 女性管理職登用の制度化(グループ会社)


すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する
- 広告宣伝物に対する植物油インキの使用・水なし印刷方式の採用
- 下水道等改造ローンの取り扱い


すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する
- ライフプラン”リフォームローン(太陽光発電・エコシステムにも利用可能)”の取り扱い
- 店舗敷地内に電気自動車(EV)の充電装置を設置
- 再生エネルギー取り扱い企業とのビジネスマッチングを通じた省エネ促進
- ESGリース、補助⾦を活⽤した省エネ設備投資の促進(グループ会社)
- 滋賀県内店舗においてバイオマス・水力由来の同県産「CO2フリー電気」を導入


包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用を促進する
- OKBサステナブルビジネスサポートデスクの設置
- OKBサステナビリティ・リンク・ローンの取り扱い
- OKBポジティブインパクトファイナンスの取り扱い
- OKBサステナビリティ応援ローンAの取り扱い
- SDGs私募債、OKB地域応援私募債(カーボンオフセット型)の取り扱い
- 各種決済関連サービスとの口座連携
- 障がい者雇用の促進(グループ会社による全国第1号「もにす認定」取得)
- メリハリある働き方の実現(生産性向上によるワークライフバランスの実現)
- 事業性評価を通じた中小企業支援
- 外国人人材活用セミナーやインバウンドセミナー等の開催
- FinTech企業との協業により、地域社会のサステナブルな成長に貢献
- 現金封筒広告サービス“障がい者サポートオプション”の展開
- 障がいのある作家の社会参加をサポートする「トモニアートプロジェクト」の推進
- 取引先の事業承継支援・OKB事業承継ファンドⅢの取り扱い


強靭なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る
- ⼿のひらソリューション(⼿のひら認証ATM"ピピット"など)の取り組み
- 地域の取引先に対するキャッシュレスインフラの導⼊⽀援(グループ会社)
- 地域取引先に対する産学官コーディネートの実施
- 震災時元本免除特約付融資の取り扱い
- 震災対策定期預金(愛称:手のひら定期)の取り扱い
- 災害復興支援ローン“手のひらローン「ゼロplus+」”の取り扱い
- 防災小冊子(電子版)のHP掲載
- オープンイノベーション創出支援拠点「OKB SCLAMB」の開設
- OKB SCLAMB オープンイノベーション創出ファンドの取り扱い
- OKB「SDGs評価」サービスの取り扱い


各国内及び各国間の不平等を是正する
- ダイバーシティ推進、ダイバーシティ事務局の設置
- 住宅ローンの連帯債務者・担保提供者に同性パートナーの取り扱い開始(LGBTへの対応)


包摂的で安全かつ強靭で持続可能な都市及び⼈間居住を実現する
- 移動店舗による営業活動
- 被災地へのOKBレスキュー号出動
- グリーンボンドの購⼊
- ISO14001取得(グループ会社)
- 取引先のBCP策定支援


持続可能な⽣産消費形態を確保する
- 広告宣伝物への再⽣資源利⽤
- 社内資料等のペーパーレス化(デジタル化)
- デジタルブックの活用による広告宣伝物等のペーパーレス化(デジタル化)


気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる
- 「TCFD提言」への賛同
- OKBグリーンローンの取り扱い
- ビニール製粗品袋の廃⽌
- カーボンニュートラルに関するサポート、J-クレジット創出支援


持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利⽤する
- 職場単位での地域貢献活動”新たなる地域との繋がり”における河川清掃


陸域⽣態系の保護、回復、持続可能な利⽤の促進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに⼟地の劣化の阻⽌・回復及び⽣物多様性の損失を阻⽌する
- OKB森林共和国における森林保全活動
- 「岐阜県木の国・山の国県産材利用促進協定」に基づく県産材利用促進への取り組み
- 株主優待制度 国土緑化推進機構(緑の募金)への寄付


持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての⼈々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する
- マネー・ローンダリング、テロ資金供与及び拡散金融の防止
- サイバーセキュリティ管理の態勢強化


持続可能な開発のための実施⼿段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する
- 海外の提携機関とのパートナーシップによる取引先企業の持続的成⻑⽀援
- 「パートナーシップ構築宣言」への賛同
- ぎふSDGs推進パートナー登録制度に「ゴールドパートナー」として参加
- J-クレジット創出に向けた自治体等との連携協定の締結